第1章 一人の男の挑戦

「すべてはお客様のために」と、夫婦がつないだ物語

 

大阪府交野市を拠点に、創業から20年以上医療機器の販売を行っている会社、

それが株式会社ホウセイである。

これまでの道程には多くの紆余曲折があった。

そこには、ただひとつの信念を胸に20年間突っ走った、

一人の男の挑戦なくしては語れない物語がある。

 

株式会社ホウセイ創業者、美好邦男。彼は昭和18年大阪に生を受けた。

関西学院大学経済学部を卒業し、

25歳で千葉県にある株式会社日立メディコに就職。

これが彼と医療機器との最初の出会いであった。

その後 35歳で島津メディカル(現:島津メディカルシステムズ株式会社)に転職、

約2年の大阪勤務を経て、愛媛営業所に転勤となる。

開業医を目指すお客様が抱えている様々な問題を目の当たりにし、

相談に乗りながら自分にできることを必死で探した。

しかし、サラリーマンという枠組みの中で、

本当に自分がしてあげたいことをするためには限界があった。
「お客様のために、設計、診療調査、建築、機械など、

総合的にお手伝いをして喜んでもらいたい」

との思いから47歳のときに独立。

これが株式会社ホウセイの始まりである。

 

 

第2章 仕事への情熱

「お客様のお役に立ちたい」── それが、邦男の強い信念であった。

お客様のどんな要望にも応え、さらにはその三手先を見据えた提案も行う。

まさにかゆいところに手が届く、お客様の心に残る仕事をした。

常にアンテナを張り、人一倍勉強することを惜しまなかった。

彼は「向こうを向いているお客様でさえも振り向かせる自信がある」と常に話していたという。
医療機器販売の会社としてスタートした株式会社ホウセイ。

元々はX線装置だけの販売を行っていたが、お客様の要望を聞きながら仕入れ先を開拓し、商品を増やした。

「ホウセイさんは何を扱っているの?」という質問に、邦男はやがてこう答えるようになった。
「薬以外のことなら何でも扱っています!」


第3章 お客様との絆
お客様に頼まれたら「この人のためにと精一杯動いた。

その結果、お客様には何でも相談してもらえるよ うになり、絶対的な信頼関係を築いていった。

開業資金が潤沢でないことに不安を感じていたお客様に対しても、

「やりましょう!」と力強い一言をかけ、お客様の背中を押すお手伝いをした。

そしてそれを必ず有言実行。

「美好さんがいなければ開業できなかった」「美好さんがいたからここまでやってこられた」

そう語るお客様は今もなお、後を絶たない。
利益だけを追求せず、邦男ならではの深い付き合いの仕方で、お客様と一緒に原点を作ってきたのだ。

第4章 病床で見せた本音

平成22年3月初め、邦男は末期の食道ガンとの宣告を受ける。

闘病生活を強いられたが、

その年の7月には弱った体に鞭を打ち、社員と共に慰安旅行へ

慰安旅行は毎年秋に行っていたが、

秋までもたないと自分でわかっているようだった。

その10日後、病室に社員全員を呼び、

自分の生命を吹き込むかのように一人一 人と固い握手を交わした。

 

そして同年7月25日、66歳の邦男は皆に見守られながら静かな眠りについた。

頑固で、言いたいことはズバッと言い、

絶対に周りには弱みやかっこ悪さを見せない男であった。

 

そんな彼が病床で、長年寄り添った妻に囁いた最後の言葉。
 

好きなことして、勝手ばっかりして、すまんかったな」

 

20年間、ホウセイに生きた男の、家族に対する精一杯の愛情と感謝であった。

第5章 残された家族の決断

邦男の葬儀には、会場に入りきらないほどの参列者が訪れた。

彼の人生が人と人の絆で満ちていたことは、これを見れば一目瞭然であった。

しかし、妻の善子と2人の娘、残された家族は女性ばかり。

「ホウセイはもう終わった」と哀れむ視線を感じることもあった。


邦男は、仕事に関する一切のことを家族に言い遺さなかった。

妻の善子は、創業当時から経理担当として邦 男を支えてきたが、社長業というものに関しては全くの無知であった。

「会社を存続させていくことが私にできるのだろうか」大きな不安が彼女の心を覆い尽くす。
そんな不安を吹き飛ばしてくれたのは、やはりお客様であった。

邦男の葬儀で、邦男が愛媛にいた当時からお世話になっている大切なお客様、

医療法人 仁友会 南松山病院理事長の尾崎先生よりお別れの挨拶を頂戴した。

 

尾崎先生は邦男との思い出を静かに語り、その結びに、参列者席に向かってこう口にした。
「みなさん、ホウセイ社員は美好くんの足元にも及びませんが、

 これからもどうかホウセイをよろしくお願いいたします」


お客様である尾崎先生が、ホウセイのために頭を下げてくれている──

 

それを見た瞬間、泣いてばかりはいられないと、これまでにはなかった力強い何かが芽吹いた気がした。

葬儀後もたくさんのお客様が「応援するから頑張って!」と肩をたたきながら励ましてくれた。

 

善子と娘たちの心は決まった。


「やるしかない・・・絶対にホウセイを終わらせてはいけない!!」

 

 

 

第6章 「チーム・ホウセイ」としての新出発


右も左も分からない中での業務はすべてが手探りであったが、

邦男が遺した足跡は確実に彼女らを導いていた。

善子は新たな代表取締役に、娘のかほるは専務取締役となり、「新生ホウセイ」が始動した。
 

それから2年。

多くの人々の支えがあったからこそ、ここまでやって来ることができた。

しかし、もう邦男の足跡を辿ってばかりはいられない。

邦男が作ってきたお客様との絆のバトンを受け、新たな絆を作るため に走り出さなければならない。

邦男個人の技量には到底敵わないことは百も承知である。

「第2の美好邦男」を作ることもできない。

ただ、ありのままの自分たちで、自分たちらしい「第2のホウセイ」を作ることはできる


時代の変遷と共にお客様の要望もどんどんと変わりつつある中で、

「お客様を大事にし、どうお役に立てるかを考え、喜んでいただく」

という邦男の信念を受け継ぎながら、

さらに専門性を磨いた社員一人一人が一 体となり、

道を拓いていく──

 

「チーム・ホウセイの新たな物語の幕開けを邦男もきっと喜んでいるに違いない。